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施行されています!成年後見制度の利用の促進に関する法律

 今日は少し前のお話ですが、平成28年5月13日施行された成年後見制度の利用に関する法律について紹介したいと思います。

 成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより、財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことを目的としています。その理念は、ノーマライゼーション・自己決定権の尊重・身上の保護の重視となっています。しかしながら、実際の後見実務では、大きな問題が生じていました。

 例えば、成年被後見人(支援を必要とする人)に必要になった医療行為について、成年後見人(支援する人)に同意権がないことや、成年被後見人が亡くなった後の事務をすべき権限が当該人に付与されていないことの他に、制度自体が社会に浸透していないということもありました。こうした背景があり、成年後見制度の利用の促進に関する法律施行されました。

 同法の基本方針を要綱から抜粋しますと以下のとおりとなっています。なお、これらの方針は同法第9条に、この法律の施行後三年以内を目途として必要な法制上の措置を講ずるものとすると規定されています。

 成年後見制度が、人びとを支える制度として充実・発展していくために、当法人は貢献していきたいと考えています。

以下、要綱より抜粋

第二 基本方針

成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとすること。

一 成年後見制度の理念の尊重に係る基本方針

1 成年後見制度の三類型が適切に選択されるための方策の検討

成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点から、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の制度の利用を促進するための方策について検討を加え、必要な措置を講ずること。

2 権利制限に係る制度の見直し

成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこと。

3 成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものの支援

成年被後見人等であって医療、介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難なものが円滑に必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方について、成年後見人等の事務の範囲を含め検討を加え、必要な措置を講ずること。

4 成年被後見人等の死亡後における成年後見人等の事務の範囲の見直し

成年被後見人等の死亡後における事務が適切に処理されるよう、成年後見人等の事務の範囲について検討を加え、必要な見直しを行うこと。

5 任意後見制度の積極的な活用

成年後見制度を利用し又は利用しようとする者の自発的意思を尊重する観点から、任意後見制度が積極的に活用されるよう、その利用状況を検証し、任意後見制度が適切にかつ安心して利用されるために必要な制度の整備その他の必要な措置を講ずること。

6 国民に対する周知等

成年後見制度に関し国民の関心と理解を深めるとともに、成年後見制度がその利用を必要とする者に十分に利用されるようにするため、国民に対する周知及び啓発のために必要な措置を講ずること。

三 成年後見制度の利用に関する体制の整備に係る基本方針

1 関係機関等における体制の充実強化

成年後見人等の事務の監督並びに成年後見人等に対する相談の実施及び助言その他の支援に係る機能を強化するため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的体制の整備その他の必要な措置を講ずること。

2 関係機関等の相互の緊密な連携の確保

家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体並びに成年後見人等、成年後見等実施機関及び成年後見関連事業者の相互の緊密な連携を確保するため、成年後見制度の利用に関する指針の策定その他の必要な措置を講ずること。

担当:保田隆生

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